”武士の家計簿”が歴史、お金の話、人生論と一冊で3つが勉強できて素晴らしい

皆さん、元気ですか?

自分は元気でやっております。

英語記事は次回に書くとして、今回も本の紹介です。

 

今回の記事でご紹介するのは、磯田道史教授の「武士の家計簿」です。

堺雅人さんの主演で映画化もされているのでご存知の方もいるかもしれません。

 

2003年に出版された本ですが、偶然に手に取る機会があり読んでみたら、歴史、お金、人生論と1つの家族の話を軸に多くの事が学べる面白い本でしたので今回ご紹介したいと思います!

 

この本は、金沢藩士猪山家文章という金沢藩で藩の会計を担当していた猪山家三代にわたるお話です。磯田先生が、偶然にも猪山家の36年分の家計簿を手に入れ解読して執筆されて本で、小説やテレビとは違うリアルな武士の生活がうかがい知れます。

 

下で自分が特に本書の中で面白いと感じたポイント3つほど書きたいと思います。

 

身分制度の風穴としての”ソロバン関係職”

  猪山家の転機として、5代目の猪山市進が、金沢家藩主の前田家に御算用者として採用されたことが書かれています。磯田教授の解釈では、筆とソロバンという、およそ武士らしからぬ技術を磨いていたことがその栄転に繋がったと解釈されています。

 

 藩の行政機関はどこも厳しい身分制と世襲制でしたが、実際の行政運営には欠かせない算術能力が必要とされる御算用者には比較的身分にとらわれない能力重視の人材登用がさていたということです。フランスのナポレオンが貴族とはいコルシカ島の出身であり差別を受ける身分であったにもかかわらず数学の知識を必要とする大砲の使い手として出世していったことが本書でも書かれています。

 

 身分制、世襲制を打ち破るテクノロジーに関係する技術…。今でいうとプログラミングの知識とかなんでしょうかね。

 

 

②江戸時代の家禄制度

  この本で書かれている江戸時代の”家禄制度”が非常に面白いと感じました。面白いと思う点を書く前に、簡単にそもそもの家禄制度について説明したいと思います(厳密な説明ではないのでご勘弁ください)。

 

 まず最初に、江戸時代の武士は、藩主から”家禄”を与えられて生活していました。家禄というのは、言い換えると家の俸禄、つまりお家ごとの給料です。単位は”石(ごく)”で、「加賀百万石」などというフレーズを聞いたことがあるかと思いますが、この百万石がお米の単位で藩の豊かさを示す単位として使われていました。ちなみに、1石で1人の成年男子が一年間食べていける量という説明を聞いたことがあります。

 

 この家禄制度の面白い思った点は、この家禄(要はお米)の出所はについて武士は無関心だったということです。年に一回運ばれてくるお米には興味があったにも関わらず、お米をどこで作っているかということには興味がなかったということです。

 

 これって、今のサラリーマンと同じですよね!会社でどれくらい儲かっているのか(給料の源泉)には興味がなく、自分の手取りだけに興味が集中している。もし、自分の給与の出所の状況を把握していたら、自分の給与がもらいすぎなのか、もらっていなさすぎなのか判断できるということです(最も、自分の出所を把握したところで、そこは別の力でコントロールされており、交渉できないと考えていたのなら、源泉に興味を持たないというのはある意味効率的ではありますが…)。

また、この家禄を決める部門(昔では藩主?、現在では人事部とかですかね)は絶大な権力を持ちますよね。この点も類似してると思いました。

 

 

➂新しい時代への対応

 江戸時代から明治時代に時代は移り、家禄のもとである田んぼが新政府に取り上げらてしまいます。自分の土地が買ってに取り上げられる…これだけを受けると新政府への反発はすごいものになりそうです。しかし、この土地を取り上げらることに対しての反発は少なかったそうです。それは、②で書いたとおり、お米の出所に対する意識が少なかったからためと本書では書かれています。

 

 今からみても、江戸時代から明治時代への移行というのは大きな変化に感じますが、それでも、人間は案外あっさりと適用してしまうのかもしれませんね。この点に関して、AIの進化等で今後の仕事にも大きな影響が出てくるとされている現代の自分にも考えさせられる点があり、勇気をもらいました。

 

(最後にまとめとして)

 この本を読んでみて、江戸時代の人々と現代の自分たちの共通点があり、同じようなことに悩んでいるということに安心感を覚えました。自分の悩みは先人達も同じように悩んできたわけであり、かつ乗り越えてきたわけです。先人たちも乗り越えてくることが出来たのだから、自分たちも乗り越えられる!そんな気持ちにさせてくれる本でした。

 

本日はここまでです。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。

また、明日にお会いしましょう!